注文の多い料理店

見ず知らずの土地に独りで行った時に困ること

色々あると思うのだが、私が一番困るのは

食事

なのだ。二人以上で行けばそれなりに入れる店というのはある
ところが独りってなると、ラーメン、牛丼、ハンバーガーのチェーン店とか

ある意味安心なのではあるが、やはりわびしい

で、この前、京都マラソンの前日にそんなシチュエーション
宿泊したのは大津、京都まで電車で10分の距離ながら逢坂山を越しただけでホテルのレートが格段に安くなる

大津に関しては何の事前情報もなかった。県庁所在地だから駅前はそれなりに賑やかなんだろうという先入観があったのだが、その先入観は見事に裏切られた

駅前にはコンビニと地元のスーパー、その1階にあるMの字のハンバーガーショップの灯かりがぽつんとあるだけ
これはいけない。まともにメシにありつけない

宿泊したホテルのフロントで「この辺で食事できるところはありますか?」
と訊ねると、よく訊かれるのだろうか、コピーしたMAPを渡され

「この辺はあまり賑やかなところではないので、数に限りがあるのですが....」
と申し訳なさそうなコンシェルジェ

いいよいいよ、別にこの辺が賑やかじゃないのはあなたのせいじゃない
しかし、中華料理屋も随分と遠いなぁ、とMAPをしげしげ眺めていると
ホテルから至近距離に「洋食」のお店があるではないか

コンシェルジェに
「ここどうですか、ほら洋食ってありますけど?」
「あ、ここですか、ええまぁ....どうぞ」

って、なんか含みを持たせた要領得ない回答

もう時間も遅いし、散々歩き回ってハンバーガーしか開いてなかったら大変だ
とその至近距離にある洋食屋へ足を運ぶ

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洋食なので、ハンバーグだのオムライスだのを期待したのだが、店のたたずまいは小奇麗なビストロ風
店の前に黒板でメニューがあるあたりはなかなかよい

ただ独りでは入れる雰囲気ではないぞ、カップルか女同士が相応、ソロと男同士ではちょとハードル高い

ちょっとした躊躇の後、意を決して扉を開ける
中には白いワイシャツに黒い前掛けをした、いかにもビストロって感じのウェイターさん

「独りなんですけどいいですか?」

ソロ男の来店は珍しいのだろうか、ちょっとした間があって
「お一人様ですね、どうぞ」

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と厨房に近い席に案内される。とそこまではよかった
厨房にはシェフらしき人物が一人、ウェイターの男性に指示しているのだが

「料理出すのに時間かかるけどそれでもいいかってちゃんと言っとけよ!!」

!!??
言われなくてもその大声ここまで聞こえてますけど(驚
アルバイトと思しきウェイターの男性が、申し訳なさそうにつぶやくように

「ほ、本日、ひ、非常に、こ、混みあっておりまして、お、お料理をお出しするのに、じ、時間がかかってしまうのですが、よ、よろしいでしょうか?」

そんなに謝らなくてもいいよ、君のせいじゃないことはわかってる
でも混みあってるって、僕のほかに客は2組だけ、見え透いた言い訳はいいよ

どうも予約なしでふらっと訪れたソロ男は店としては迷惑なようだ
それじゃいいです、とこのまま店を出るのも大人気ない
なるべく手間のかからないものにしてさっさと店を出ようとメニューに目を落とす

パスタ、ハンバーグ...ダメダメ時間かかりそう
コース料理なんてもってのほかだ
お、これいいんじゃないの!?お奨めみたいだしと目に付いたのが

特製 近江牛とろとろビーフシチュー 1600円

これなら煮込まれたものを温めればいいだろうし、気難しいシェフの手を煩わすこともない
こいつとビールを頼むことにする

まずビールが運ばれてくる、それはそうだこれに時間がかかるはずがない
今日はマラソンの受付に平安神宮まで行ったりして疲れた
あまり晩酌をする習慣はないのだが、疲れた身体にビールののど越しがたまらない

明日の京都の天気予報をスマホで確認したりして、ビールを飲む、料理に時間がかかるだろうからチビリチビリと
一気にあおりたいところだが、明日はフルマラソン、アルコールは自重する

.....待つこと40分、チビリチビリでもビールなどとっくに飲み干した頃

おまちどうさまでした、と運ばれてきたビーフシチュー

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なんともいい色のデミグラスソース
メニューどおりとろとろに煮込まれたビーフ
箸でもしっとりとほぐれる

うーんこれは待った甲斐があったよ、さすが店自慢のビーフシチュー
と、料理を堪能していると突然

「だからお前と話してるとイライラすんだよ、もっと元気出してはっきりしゃべれよ!ったくもう」

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なぜなのか、またシェフがウェイターの青年に怒っている
みたところ至極まじめな好青年のウェイター君なのだが、シェフにはイライラの捌け口になっているらしい

卑屈なまでにハイっと返事を返す青年
なんだかものすごく気の毒に思えたのと、シェフに対して食事している客のことも考えてくれよという気になった
気がつけば美味しかったはずのビーフシチューは平凡以下の不味いシチューに変わっていた

後味悪く店を後にし、あの店になぜ客が少なかったのかとホテルのコンシェルジェの曖昧な返事の意味がようやく理解できた

競争の激しい外食産業にあって何十年も続く老舗にはなにかプラスαが必要
美味しいことはモチロンだが、客に心地よいと思わせるホスピタリティ
そんなことを考えながら、口直しに向かいのコンビニで買ったカップうどん
関西味のお出汁で美味かったなぁw




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