登山道のない200名山 笈ヶ岳 残雪期限定のお山

我が家は冬山が禁止されている
理由は一般的に危険度が増すから

凍傷とか滑落、雪崩とか、そんな危険なとこになんで出かけるの?

でもね、雪山ってきれいなんだ、白く汚れ無き峰
ぞくぞくっとしびれるように美しいんだ

ずっと冬の間は山を我慢していたのだ
それがGWになってようやく解禁

どこにいこうか?
燕、常念、立山、唐松?ちょっとアプローチ遠いんだよ
白山はこの時期まだ登れる自信ないし...

おっとそうだ忘れるとこだった、この時期しか登れない山

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笈ヶ岳

石川県、岐阜県、富山県の3県の県境にまたがる200名山
なんといったって登山道がない
なので藪がひどくて雪の無い時期は登れないのだとか

残雪期にしか登れないなんてちょっとドキドキするな

3連休の真ん中、天気予報は晴れ
これはいくしかないでしょ、登るしかないでしょ
2日前に開通したばかりの中宮温泉までの道、ようやく明るくなってきた道をひた走る

登山口は白山自然保護センターの裏、そこからサルたちが群れ暮らす野猿公園を経由して尾根に取り付く

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駐車場は早朝だというのに県外ナンバーの車でほぼ満車。全国から登山者が来るなんてさすが200名山
日帰り組はあらかた出発してしまったらしく、5時半到着ではかなり遅い方だった

野猿公園までは川沿いのフラットな遊歩道、サルがいっぱいいるのかと思いきや、サルっこ一匹もいない
今日は人間の方が大勢いるのか、サルもさぞかし迷惑なことだろう

野猿公園から先で尾根に取り付き、いよいよここから登山らしくなる
でもこの道かなり傾斜きついな、汗がどんどん滴り落ちてくる
ちょっと息を整えないとやばいぞこれは

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トラロープや木の根につかまって登ること40分、ようやく稜線に出る手前の大岩のところまできた
ぜいぜい...こんなきつい山だと思わなかった、これは降りが思いやられる

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ふぅと大きく息をついて振り返ると、そこには大きな白山が
こんな雄大な白山見たことない、こうしてみると大汝、剣ヶ峰、御前峰と三つの山がきれいにわかる
やっぱ白山は百名山だ、こんなにでかいんだものな

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今日の目的地の笈ヶ岳はここからではまだ見えない
その手前にある冬瓜山が最初の目標

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一昨日から一時的に冬型になり、ここら辺りは一面のパウダースノー
歩いていても潜るほどではない、それより新雪の雪面がきらきらと反射してきれいだ

やがてトレースは冬瓜山と冬瓜平の分岐にたどり着く
冬瓜平へは一旦降りその後登り返すが、一般ルートで時間も短い

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で、冬瓜山へのルートは急傾斜でほぼ直登
明らかにこちらの方がトレース少ないが、ここはあえて冬瓜山を目指す
なんでって、それはピークからの方が眺めがいいから、こんな天気いいのに眺望のいいとこ選ばなきゃ

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ブナの大木には昨夜からの冷え込みで霧氷がびっしりとついている
それが陽光に照らされきらきらと輝き、風に吹かれてばらばらと落ちてくる

落ちてきた霧氷が白い落ち葉のように堆積し、前に歩いた登山者の足跡がどんどんかき消されていく
その上に自分がまた新しい足跡をつけていく、その繰り返し

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冬瓜山へ最後の急登、雪がついてはいるが狭い尾根を足の置き場に気をつけながら登る
山頂は狭くナイフリッジ、平均台を歩くように慎重に通過

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ここから笈ヶ岳まではまだまだ遠いが、徐々に近づいてきている
新雪の登山はやはり気持ちがいい、振り返れば冬瓜山がもう遠くに去っていく

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過去の記録をネットで調べるとGWはもう雪が腐っているって情報だったが、今日は昨日からのGW寒波で思いがけず新雪に恵まれた

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シリタカ山からはさらに笈ヶ岳が近くなり、稜線上を歩く登山者の姿も確認できる
さすが200名山でこの時期しか登れないから多くの登山者が連なっている
これで200名山じゃなかったらきっとこんなに登られてないよな
って言ってる自分もそうだろうな

そう思うと人間の判断基準なんて結局他人の評価に影響受けるんだろうな
百名山なんてそうだし、ブランドもの自体がそうだよね

●●名山じゃなくてもいいお山はいっぱいあるだろう
ミス●●がみんな良妻か?そうじゃないよな
外見じゃなくて中味に惚れるんだ
結局はしっかりした自分を持つことだ、他人の判断基準とか人気投票に頼るな自分!

なんか山登っててまじめな事?考えてるし、たまにあるんだこういうこと
我に返ってふと馬鹿らしくなる、ぽつんと独り言

「アホちゃう?」

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ほら、そんなこと考えてたらもう山頂はすぐそこだよ
もう一登りだ、それっ、やっと到着、ふと時計をみると10時46分
天気にも恵まれて5時間かからずに到着した

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おっとまた時間気にしてる、だれかと競争してるんじゃないんだから
他人と自分は違うんだから
誰かより先に着いたからとか遅れたからとかどうでもいいじゃないか

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こんないい天気めったにないぞ、しかも雪は積もったばかりだし、こんな山を急いで登ってもったいないじゃないか
麓で買ったコンビニ弁当だけど、山で食べればみなうまし

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結局1時間くらい山頂でまったり景色を楽しんだ
日帰り登山でこんなに山頂滞在時間の長いことはめずらしい
早く降ったって誰かにほめられるわけじゃない、むしろこの景色を時間の許す限り楽しんだ方がいい
さて、降りもゆっくり帰るとするか、天気もよくて帰り道の心配も要らない

降りは午後になって、かなり融雪が進んできて腐りかけている
足を置くたびにゴボゴボと沈むが、残雪の降りは嫌いじゃない
なんといったって膝に優しいし、多少転んだって怪我しない

だから飛ぶように降れるのだ
復路は往路と違って冬瓜平のトラバース道を降っていく
雪崩れとはいえない程度の小規模な雪塊がころころと斜面を転がり、平らになってバランスを崩したところで止まる

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ふと立ち止まって周囲を見回すと、お椀の底の様な冬瓜平
新雪雪崩という言葉が頭の中に浮かぶ
新雪とぎらぎら照りつける太陽、ちょっと怖くなった、ここはさっさと通り過ぎたほうがいい

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しかし、ここのブナは太い
白山はブナが大きいことで知られているが、この笈ヶ岳山ろくのブナは特に大きいような気がする
やはり登山道のないおかげで自然が手付かずなのだろう

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ブナ林を過ぎ、ゆるく登り返していくと冬瓜山との分岐に到着
ここから先は往路を戻るだけだ、雄大な白山もここで見納め
そして雪は目立って少なくなり、急激に降る尾根へと続く

登山道が無いために尾根をほぼ直登に近い斜度で突き上げていく
これが普通の登山道だと急すぎてクレームがきそうな(って、どこに?)道だ
自然発生の踏み後しかないので登山道としての整備はされてはいない

降りはズルズルと滑るため足のつま先に必要以上に力が加わる
これはまた足の爪が内出血で黒くなるなと憂鬱になりながらひたすら降る

降りのモチベーションは到着後の温泉、汗のしみこんだウェアを脱ぎ捨て、源泉掛流しの温泉につかる
日本人に生まれてよかったと思える瞬間
これがあるから山は止められない

トラロープで補助されてはいるけど、ちょっとした悪場では渋滞発生、見知らぬもの同士だが先を急ぐことも無く団体登山のように連なって下山する

それはそうだ急いでみたところで先は知れてるし、第一危ない
ここは登山道の無い笈ヶ岳、立山だ槍だといってる若い連中の似合う山じゃない
落ち着いた大人の登る山、だから無理な追越をする連中もいない

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そんな団体の一番最後を降り、ようやく野猿公園の観察舎に到着
ここから先はフラットな遊歩道
駐車場はもう目と鼻の先だ

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遊歩道の脇には満開のカタクリの花
開花時期は2週間程度と短い早春の花
そんなカタクリを愛でながら駐車場に到着

今年も山に登ることが出来た平凡に感謝
こんな平凡が来年も再来年も続きますように....



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